ベランダアウトドア(石油ストーブとの別れ)

 災害時に備えて石油ストーブを購入した。

 

 普段はエアコンと石油ファンヒーターを使っているのだが、どちらも停電になると使えない。

 

 真冬に暖房なしだと人間もだが飼っている小鳥の生死にかかわるのだ。

 

 何十年ぶりに使う石油ストーブのニオイは懐かしかった。

 

 点火した後、しばらく炎の調整がいる事も忘れていた。

 

 昔と違って点火はワンプッシュになっていて石油ストーブの進化を感じた。

 

 そんな石油ストーブだったが消火時のニオイがくさい、と家人からクレームが出て残念だが非常時以外の使用を禁じられてしまった。

 

 片付けるに際して説明書を読むと、芯を長持ちさせるために、タンクを空にして火が消えるまで燃やしてください、とあった。

 

 部屋の中でそれをやるとまたクレームが出そうだったのでベランダで行う事にした。

 ベランダに石油ストーブを設置し、点火。

 

 放置しておくのも不安なので小さい椅子を持ち出してストーブの前に座って番をする。


 ただ外で石油ストーブを使うのもつまらないのでヤカンでお湯を沸かしてみる。

 

 しばらくするとジー、っと音が鳴りだす。

 

 いつもこの音が不思議だったが手持無沙汰だったのでググってみた。

 

 ヤカンを加熱するとヤカンの底の金属が熱くなり、そこに接している水が沸騰し水蒸気の泡になる。

 

 泡は軽いので金属の板から離れ浮き上がるがそこはまだ沸騰していない水なので一瞬で泡は消える。


 この泡が消える時の衝撃がヤカンに反響して音がするらしい。


 確かに蓋を開けて中を確認するとジーっと言う音に合わせてヤカンの底で気泡が現れたり消えたりしていた。


 長年の疑問が解けた瞬間であった。

 

 そうこうしているうちにヤカンの水が沸騰したのでインスタントの味噌煮込みうどんを作って食べる。(中部圏の人で知らない人はいない、スガキヤ製)

 冬の晴れた空を眺めながらいただくうどんは美味しかった。

 

 後は本など読みながらゆったりとした時間を過ごす。

 

 ふと寒くなってストーブを見ると火が消えていた。

 

 今日は太陽の日差しもあり、風もないので暖かいのだ、と思っていたがストーブが頑張っていたからだったようだ。

 

 お疲れ様、と心の中でつぶやきながら物置の奥にしまい込んだ。