ブルートレインのおもひで

 幼き頃、あまりレジャーに連れて行ってもらえなかった私にとってブルートレインでの旅行は特別なものだった。
 親の実家が九州にあったので数回「さくら」に乗った。
 夜、暗くなってから家を出発し、夜の名古屋駅から乗車。これがすでに新鮮。
 三段ベッドの枕元の明かりがいい雰囲気を出していた。
 もちろんこんな特別なイベントですぐ寝るわけもなく、頭と足を逆にして窓の外をずっと眺めていた。
 遠くに見える街の灯り。時折停まる、ほとんど人気のない駅のホーム。

 翌日、3段ベッドがどうやって普通の客室になったかはよく覚えていない。朝食をどうやって取ったのかも。
 目的地は確か諫早駅だったと思う。翌日の昼頃到着したと記憶している。
 それまで車窓からの風景を眺めたり、途中で停車した駅で記念撮影をしたりした事は覚えている。
 車内にウォータークーラーがあり、そこで使用する紙コップは折りたたまれていて自分で水を飲む形にして使うようになっていた。
 タバコのニオイがすごかった。しかし、当時はどこでもタバコのニオイはしていたのでそんなに苦に感じる事はなかった。
 旅行が終わってからしばらくはタバコのニオイがするとブルートレインの旅行を思い出したものだ。

 親戚の家で泊まって楽しいひと時を過ごし、帰路へ。
 おそらく帰りは新幹線だったと思うが全く記憶に残っていない。それだけブルートレインの旅行にインパクトがあったと言う事だろう。

 大人になっていつかまた乗ろうと思っていたが知らない間にブルートレインはなくなっていた。


 桜と言えば、先週、散歩先で満開だった桜が今日はだいぶ散って、残った花の間から真新しい葉が生えていた。
 ちょっと前まで枯れ木みたいな状態だったのにすごい生命力。

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