その夜、私は慣れない道をナビを頼りに目的のホテルまで車を走らせていました。
高速を降りた後、宝塚市から西宮市を抜けて六甲山へ向かいました。
その日は朝から天気が悪く、昼から降ったりやんだりを繰り返していました。
山道に入って高度が上がってくると今までにないくらいの濃い霧に遭遇しました。
おそらく、霧と言うより雲の中に入ったんだと思います。
視界はほぼゼロ。
かろうじてボンネットの向こうのセンターラインが見えるのでそれだけを頼りに徐行しながらつづら道を進んでおりました。
しばらくして後ろからヘッドライトが迫ってきました。
こちらは最徐行しているので申し訳ないと思いハザードを出して停車したところスッ、と追い抜いていきました。白か銀色のポルシェでした。
追い抜いたとは言え、この視界なので自分とそんなに変わらないスピードで走るのかとおもいきや、あっという間に姿が見えなくなりました。
この視界のなか、信じられないスピードでした。
これはひょっとして、道を譲らないでそのまま走り続けると焦ってスピードを出して谷底に落ちて命を落としてしまうが、道を譲ると運が上向き、大金持ちになると言う噂(今作った噂)の幽霊カーか?と思いましたね。
後日、ドライブレコーダーで確認してみよう、と思って見直してみたらなんと、そんな車は記録に残っていませんでした。
以前、ほんのちょっとした接触事故を起こしたときに、ドライブレコーダーがあって助かったんですが、その時の画像が証拠としては十分だったんですが、ちょっと粗いな、と思って解像度の設定を上げていたので長時間録画できずに上書きされてしまうのを忘れていました。
おかげでポルシェの映像も上書きされてしまった、と言う訳です。
あんな濃霧のなかのドライブはなかなか経験できないので映像を取っておきたかったんですが残念。
幽霊カーかどうかも確認できずじまいです。